自然なかたちの不妊治療

結婚して1年以上赤ちゃんができない場合を不妊症といいます。ただし、妊娠しないように心がけていた期間(避妊期間)は含めません。最近では結婚後6ヵ月を過ぎるとご来院される方が多くなっています。
現在、不妊症に悩むご夫婦は10組に1組あるとされています。妊娠できる機会は、正常なご夫婦でも1年間に約12回しかありませんから、根気よく検査と治療を続ける必要があります。

不妊症の原因

不妊症の主な原因には、次のようなものがあります。

  1. 1.排卵障害(女性の卵巣から卵が出ない)
  2. 2.卵管の通過障害(ラッパ管がつまっている)
  3. 3.精子の異常(男性の精子の数が少ない、動きが悪いなど)
  4. 4.着床障害(受精卵が子宮内に付くことができない)
  5. 5.精子が子宮内に進入できない

不妊症の検査と治療

  • 不妊症の治療は、当クリニックでは、検査と治療を同時に進めていきます。
  • 排卵障害については、まず初めに、排卵に異常を起こすホルモンのアンバランスがないかどうかの血液検査を行います。この結果が出るまでに2~3週間かかりますので、その頃外来で結果をお話しします。お帰りになってからは毎日、婦人体温計で基礎体温を測り記録していただきます。そして、生理の始まった日から数えて、13~14日目に外来で超音波検査を行い、卵巣の中の卵胞(卵の袋)の大きさを測ります。
  • 卵管については、生理が終わってから7日目以内に子宮卵管造影を行います。これは、子宮の中に少量の造影剤を入れて写真を撮る検査です。これは検査ですが、卵管が通りやすくなり、妊娠につながることも多くあります。
  • 着床障害に関して、子宮内膜ポリープや子宮筋腫が子宮腔内にある場合があります。これを調べるのが、ソノヒステログラフィーです。子宮の中に少量の生理食塩水を入れて超音波検査を行う方法です。
  • 精子については、精液検査をしますが、ご主人に来ていただかなくても専用容器に採って持ってきていただくだけで直ちに結果がわかります。
  • 精子が子宮に自由に入っていけるかを調べるのが、フーナーテスト(性交後試験)です。排卵日に性交をもってもらい、子宮のおりものを顕微鏡で調べることでわかります。
  • ※以上の検査が一般的なものですが、患者さん一人一人のお体の状態によって、その他の検査をする場合もあります。
  • ※お仕事をお持ちの方も多く、ご都合にあわせて進めさせていただきますので、お気軽にご相談ください。

ソノヒステログラフィーについて

不妊症や不育症(繰り返す流産)の原因となる子宮内膜ポリープや突出した筋腫など、子宮内膜の病気を明確に浮き出させるための検査です。
生理が終わってから7日目以内に細いチューブを子宮内に入れ、生理食塩水を注入しながら超音波検査を行います。痛みもほとんどなく、短時間で終わります。

人工授精(AIH)について

当クリニックでは、不妊症の治療に実績を上げてきましたが、不妊原因の大きな割合を占めている男性不妊症、精子が子宮内に進入できない場合や原因不明の不妊症の方の治療に、精子洗浄濃縮人工授精法(パーコール法)を最新の方法で行っております。
これは、精液中の精子自体をパーコール液できれいに洗い、動きの良い精子だけを集めて、専用の器具で子宮の中の卵管まで送る方法です。すでに全世界で行われ、安全で最適の方法であることが実証されています。

自費診療 15,000円
※注射や薬剤費も含みます。

流産を繰り返された方へ(不育症)

流産の原因については、受精した細胞の異常によるといわれており、ご両親が原因であることはほとんどありません。
一般的には、次回の妊娠で元気な赤ちゃんが宿れば順調に育ちます。
しかし、流産を繰り返すようであれば、その原因を検査する必要があります。
原因と検査法は次のようなものです。

原因検査
子宮異常
(子宮奇形、子宮筋腫、子宮内膜症など)
子宮卵管造影、超音波検査
内分泌異常
(黄体機能不全、甲状腺機能異常、糖尿病など)
血液検査
感染症
(細菌性膣症、クラミジアなど)
細菌検査、クラミジア検査
自己免疫異常
(抗リン脂質抗体症候群、自己免疫疾患など)
血液検査(一部自費)
夫婦間の因子
(両親の染色体検査など)
血液検査(自費)

流産は一般的にはご両親に原因はなく、一定の割合で起こる(7~10人に1人)と言われています。しかし、2回流産があると反復流産、3回以上で習慣性流産と呼んで、その原因を調べる場合があります。
当クリニックではご希望に応じて以下のような検査を妊娠前のご希望の方におこなっています。

  1. 1.子宮や卵巣の異常
    超音波検査、子宮卵管造影 保険診療 約10,000円負担
  2. 2.ホルモン検査
    血液検査
    脳下垂体検査(LH、FSH、プロラクチン)  保険診療 約5,000円負担
    甲状腺検査(THS、フリーT3、フリーT4)  保険診療 約4,000円負担
    糖尿病検査(血糖、HbA1C)  保険診療 約2,000円負担
  3. 3.感染症検査(クラミジア、細胞培養検査)
    保険診療 約3,000円負担
  4. 4.免疫学的検査
    血液検査
    抗PE(フォスファチジールエタノールアミン)lgG抗体 自費診療 5,500円
  5. 5.遺伝的検査
    血液検査
    ご夫婦の染色体検査 自費診療 各30,000円

検査については保険適応でないものもありますので、よくご相談の上お受けください。

男性不妊症

当クリニックでは不妊症の治療に実績を上げてきましたが、不妊原因の大きな割合を占めている男性不妊症、特に精子の数が少ない乏精子症や、精子の運動率が低いといった方の治療に、平成8年より他院に先駆けて「精子洗浄濃縮人工授精法(パーコール法)」を、最新の方法でおこなっております。
これは、精液中の精子自体をパーコール液できれいに洗い、動きの良い精子だけを集めて、専用の器具で子宮の中の卵管付近まで送る方法です。
すでに世界各国でおこなわれ、安全で男性不妊の治療には最適であることが実証されています。
またこの方法は、精子が子宮に進入できない場合や原因不明の不妊症にも有効です。

自費診療  15,000円
※注射や薬剤費も含みます。

AMH(アンチミューラリアンホルモン)について

AMHとは、アンチミューラリアンホルモン(または抗ミュラー管ホルモン)の略で、発育過程にある卵胞から分泌されるホルモンです。
血中AMH値が原始卵胞から発育する前胞状卵胞数を反映すると考えられております。
その値は、卵巣内にどれぐらい卵の数が残っているか、つまり卵巣の予備能がどれほどかを反映すると考えられています。

AMH値を年代別にみると、年齢とともにAMH値は減少する傾向にあり、その統計をとることで、平均値(年齢との相関関係)といわれる統計値は出すことは できます。個人によって大きな差があることから正常値という設定をすべきではなく、同じ年齢層に比べ、卵巣予備能が多いか少ないかを判断するものになります。

年齢が若くAMH値が高ければよいかというと、そうとも言えず油断してはいけません。
AMH値が4.0~5.0ng/ml以上ある場合は、多嚢胞性卵巣症候群(たのうほうせいらんそうしょうこうぐん;PCOS)が疑われます。

まず、AMHを測っていわゆる「卵巣年齢」をチェックしてから自分の人生設計をしてください。

自費診療 5,000円